足柄古道

足柄峠をはさむ神奈川県南足柄市、静岡県小山町とも数千年前からの土器、石器などが出土しています。

また足柄峠からも縄文土器が出土しており、この付近一帯には古くから人が生活していました。

 

西国(中央)と東国を結ぶ東海道における最大の難所のひとつは箱根外輪山とそれにつながる山稜を越える道でした。
足柄古道は、足柄道、足柄路と呼ばれ、律令時代から奈良時代には、既に官道として整備されていました。
箱根古道は乙女峠と明神岳という標高1000m前後の二つの難所を越えるのに対し、足柄古道は横走(御殿場)から足柄峠(759m)を越え直接坂本(関本)、小田原方面に出ることができる便利な道だったのです。

当時、多くの人々が往来した足柄道と足柄峠越えの様子は、「万葉集」や「更級日記」などの和歌集、紀行文にみることができます。
鎌倉・室町時代に入ると距離の短い箱根峠越えの湯坂道や、江戸幕府が開かれた後は箱根旧街道が官道とされ利用されるようになりましたが、
足柄古道は物資の輸送や富士講の人々で引き続きにぎわったといわれています。

県境の看板

 

現在、この道は車道、林道上の歩行が多いルートになりましたが、気持ちの良い山の道も残っており、足柄峠付近からは、富士山や箱根の山々、相模湾など素晴らしい眺望を得ることができます。
また、史跡や伝説・民話などに関係する場所も多く、千年の歴史を感じながら歩くことのできるコースとしてハイカーに親しまれています。

峠の東の南足柄市側では地蔵堂から現在ハイキングコースになっている「足柄古道」とは別に、「足柄古道」の北側を通り万葉公園付近の古楢尾砦跡に至る「万葉ハイキングコース」と呼ばれているる「旧古楢尾道」があります。)
足柄城址から富士山


以下、少し長くなりますが、矢倉沢バス停(新松田駅または大雄山駅前の関本から地蔵堂行きパス)からJR御殿場線足柄駅までのルートをたどってみましょう。

(「足柄古道」ハイキングコースは、一般的に大雄山駅付近の関本宿から足柄峠を越え、JR足柄駅までとされていますが矢倉沢バス停までは車道が多いため、ここではバス停を起点としてあります。)
なおトイレは、下車後、右から合流する県道726号線を100m程進むと左に矢倉沢公民館の公衆トイレがあります。
この先、夕日の滝、地蔵堂までトイレはありません。


矢倉沢バス停からすぐ横の細い道を下ります。

道なりに進むと細い舗装道路(旧矢倉沢往還)に突き当たります。

右には石垣があり、矢倉沢表関所跡の説明板が見えます。
隣の民家の庭先には矢倉沢関所跡の石碑がありますが、個人宅の庭先にあるので見学には注意しましよう。

この関所は、江戸時代に箱根関所の裏関所として旧矢倉沢往還に設けられた関所です。

 

ここからは、左下にあるマス釣り場や道端の古い石碑等をみながら舗装路を緩やかに登っていくと水車のある直売所があり、県道78号線に出ます。

県道の反対側には足柄古道の道標が見えます。

釣り場


注意して県道を横断してから一旦戻るように右に上がった後、3~40mほど先を左に曲がり、林の中の作業道を進みます。
イノシシ防御柵を抜けると展望が広がり、左に箱根外輪山につながる山並み、右には茶畑の先に矢倉岳が美しく望まれます。
この先、再び県道に合流してから少し進んだ右側には、1590年(天正18年)秀吉による北条攻めの際、家康軍が陣を張ったという「家康陣馬の跡」の説明板が見えます。

 

ここから地蔵堂までは舗装道路沿いの緩やかに登る道です。
陣馬の跡を過ぎると「古道入口」バス停があり、左上に向かって古道に入りますが、ここには19世紀初頭、文化年間に祀られた石仏があります。

 

新しく整備された道路横の林の中を通っていくと「はこね金太郎ライン」(定山林道)に出ます。
道は、右の内川、左の狩川に挟まれた尾根上を通る林道の路肩にあり、緩やかに登っていきます。
この林道沿いには、山城である「定山城跡」、「ひじ松神社」などの史跡があります。

 

ひじ松神社から先、林道が下り気味になると右上に登る階段が見えます。
登りきったところには、矢倉岳が見える墓地があり、墓地の隅から下っていくと水場の先に古い石の馬頭観音像があります。

 

この先で車道が三叉路となっており、右の夕日の滝方面になだらかに下っていきます。
左には、新しく整備された駐車場と付近の観光案内図が掲げられてあり、右には矢倉岳が目前に望まれます。

 

駐車場を過ぎるとT字路となり、金太郎休憩所があります。
左は夕日の滝、右は地蔵堂方面です。夕日の滝へは、30分ほどで往復できるので時間に余裕があれば寄り道しましょう。
棚田脇の道を緩やかに登り、滝へ向かいます。
この付近には「金太郎の生家跡」や「金太郎の遊び石」「金太郎の力水」等があり、金太郎伝説にちなむ場所があります

金太郎の力水

 

緩やかに車道を下っていくと右に公衆トイレがある駐車場があり、すぐ先には地蔵堂があります。
ここまで、新松田駅、関本から直接バスで来ることができます。

 

地蔵堂付近には有名なうどんの店「万葉うどん」さんがあり、店前を左の舗装道路へと進みます。

万葉うどん

 

この道は、旧甲州道ともいわれており、県道78号線、相の川、茶畑を右下に見ながら進みます。
しばらくすると相の川橋バス停付近で県道に合流します。
ここからは、車輛の往来に注意しながら10分ほど傾斜のある県道を歩きます。
何度か曲がりながら次第に高度を上げていくと左側に大きな石碑があり、その後ろに足柄古道入口の道標が見えます。


石碑の後ろの山道に入るといかにも古道という気持ちのよい山道に入っていきます。
曲がりながら高度を上げていく県道と何度か交差しながらスギやヒノキなどの針葉樹、広葉樹林の山道を登っていくとやがて東屋のある見晴台に着きます。

 

ここには足柄古道の解説板やバス停もあり、箱根外輪山と矢倉岳の眺望が見事です

 

見晴台からは、県道に沿った緩やかな山道です。
少し歩くと再び県道に出ますが、道路の反対側に和田山林道の鉄製のゲートが見え、その右側に足柄古道の古びた案内標識と石畳の道があります。
この石畳道を緩やかに登りながら進むと道は途中で二俣になりますが、この2つの道は上部で再び合流します。

 

足柄古道の標識は、右方向を示しています。
石畳道と別れ右側の山道をジグザグに進み、しばらくすると先ほどの石畳道と合流するところに金太郎伝説や、大江山の鬼退治に登場する源頼光が腰掛けたという「頼光の腰掛石」があります。


石畳道をしばらく登ると再度二俣に出ますが、ここには「左足柄峠」の道標しかありません。
左へ進むと2〜3分で足柄関所跡のすぐ横の車道に出ることができますが、今回は、右の緩やかな道へ入ります。
少し歩くとその先には、白い馬の像がある足柄明神の祠があります。
目の前が大きく開け、相模湾や箱根の山々から条件が良ければ大涌谷の噴煙をも望むことができます。

 

足利明神を先に進むと鳥居をくぐり車道に出ます。
右は、足柄万葉公園方面ですが、左に進むと足柄城の城郭跡横を通り、先ほどの二俣の左からの道を合わせ、足柄峠に出ます。

 

道路の右には公衆トイレがあります。


そのまま進むと足柄峠交差点にでますが、ここ足柄峠は、東は、今登ってきた足柄古道で矢倉沢を経て関本へ、南は、今は通行できませんが箱根外輪山最高峰の金時山への道、西は、足柄、小山方面へ、北には山北方面への道の交差点です。
峠周辺には足柄関所址、聖天堂、新羅三郎義光吹笙石、足柄城址、万葉公園等の史跡や見どころが多くあります。

足柄城址へ

 

足柄城址を後にし、県道365号線を駿河小山駅方面に下ります。
二か所の六地蔵を過ぎると右に芭蕉句碑があり、左には、直路ケ尾道(赤坂古道)入口があります。
赤坂古道入口を過ぎ、そのまま県道を10分ほど下ると左に虎御石道(足柄古道)入口の案内標識があります。


山道は、滑りやすいところもありますが、比較的緩やかで道から外れないようロープを張るなど整備されています。
しばらく下ると敵討ちで有名な曽我兄弟ゆかりの虎御前にちなむ虎御石の入口があります。
ここから虎御石へは往復1分もかかりません。

 

再び下っていくと堰堤を過ぎ、戦ケ入り林道に出ます。
この林道は、地蔵堂川に沿って下っていきますが、春には、途中の湿地状の水たまりの上の枝にモリアオガエルを見ることができます。
緩やかに林道を下っていくと大きな淵をかかえた銚子ケ淵があり、さらに200m程下った先の右の沢を入ると源頼光が金太郎と初めて対面したという「頼光対面の滝」の道標があります。
落差10mほどの滝と不動明王像が祀られていますが、10分ほどで往復できます。


林道にもどり、さらに5分ほど下ると右に嶽之下宮奥宮があり、この先で舗装道路に出ます。
民家の中の道を進み、踏切を渡ると新しくなったJR足柄駅に到着します。ゴールです。
また、踏切手前を右に進むと嶽之下宮本宮があり、境内には、小鮎川の対岸から移設された竹之下古戦場跡の石碑があります。

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