神奈川県山北町の室生神社では、毎年11月3日に800年以上続く伝統行事「流鏑馬(やぶさめ)」が行われます。武士の技芸として知られる流鏑馬ですが、ここでは源頼朝に仕えた河村義秀が命を救われた故事に由来し、地域の人々が守り継いできた「民の流鏑馬」として奉納されます。
射手は神事の数日前から小田原の海で禊を行い、家族と食事を共にせず一人で慎ましく過ごす「垢離取り」の儀を経て、心身を清めて本番に臨みます。当日は法被姿で裸馬に乗る試走「馬場駆け」の後、正装に着替え神官の祓いを受け、三つの的を射抜きます。的は稲作の豊凶を占うもので、農耕文化と神道が融合した神聖な儀式です。
格式高い武家流とは異なり、室生神社の流鏑馬は素朴で温かみのある地域の祈り。この伝統に触れる旅には、南足柄市竹松の隠れ家旅館「あしがら倶楽部」がおすすめです。2組限定の静かな和空間で、心を整えるひとときをお過ごしください。

三ノ的

駆け抜ける馬と射手

試走では法被姿の射手が法被姿で裸馬で駆け抜ける

神輿や花車も迫力満点